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グリーンインフラを推進する 
  「中間支援組織」とは何か?

掲載:2022.2.11

Feature 1

まちづくりに貢献するみどりの中間支援組織

最近、メディアやニュースなどでも耳にすることが増えてきた「グリーンインフラ」。国土交通省はこれを「自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方」と定義し、平成27年に閣議決定された国土形成計画でもその取り組みを大きく推進しています。NPO birthは、日本でも数少ない「みどりの中間支援組織」として、公園をはじめとするグリーンインフラの価値・機能を最大限に活かす取り組みを幅広く実施、その結果、コミュニティの総合的な魅力向上を目指す「みどりのエリアマネジメント」に取り組んでいます。

今回の特集記事では、「グリーンインフラ」「中間支援組織」「エリアマネジメント」といった近年話題のトピックについて紐解きながら、NPO birthが1997年の創立当初から行っている幅広い取り組みの核心に迫ります。

Feature 2

グリーンインフラの機能とSDGs

グリーンインフラとは、私たちの日常生活の基盤となるみどりのことを指し、公園・農地・街路樹・個人庭など、都市において様々な形で存在します。こうしたグリーンインフラの具体的な機能として、防災や減災、美しい景観の形成といったハードウェアとしての機能が挙げられるほか、コミュニティ醸成や生物多様性の向上、教育・福祉・芸術の振興などといったソフトウェアとしての機能も挙げられます(図1)。そして、こうした機能が総合的に作用して、社会課題の解決に貢献すると言われています。言ってみれば、グリーンインフラの活用は持続可能なまちづくりに直結していて、最近話題のSDGs(持続可能な開発目標)達成に大きく貢献すると言われているのです。

グリーンインフラの活用がSDGs達成に直結するという関係性は、SDGsウェディングケーキを見ると明らかです(図2)。SDGsウェディングケーキとは、SDGsの概念を構造的に示すモデルのひとつで、持続可能な開発を進めるのに必要な17の目標が大きく3つの層(分野)から成り、それらが密接に関わっていることが表現されているものです。自然環境 ―つまりグリーンインフラ― をベースに社会コミュニティが育まれることで経済活動が活性化する、そして、これら3つの層(分野)にわたる16の目標を実現するにはパートナーシップの実現が必須条件であるということが表現されています。なぜパートナーシップが欠かせないのか ―それは、環境・社会・経済といった様々な分野で多種多様な利害が対立する現代の社会問題の解決には、そこに関わるひとつひとつのステークホルダーが積極的・主体的に問題解決に関わる必要があるからです。

Feature 3

SDGsウェディングケーキが示す中間支援組織の必要性

そんなSDGs達成のかなめである「パートナーシップ」を円滑に促進することができるのが「中間支援組織」です。中間支援組織は、異なるセクター間に立って調整や連携を図ったり(コーディネート・マッチング機能)、中立的な立場で各セクターの事情を鑑みて最適な方向性や解決策を提示したりしながら(ソリューション機能)、既存の価値観・規則・役割に積極的にはたらきかけ、現代の複雑な社会問題を解決へと導くことができる存在です。「価値観を先導する存在」とも言えます。「SDGs達成にはパートナーシップが欠かせない」、「中間支援組織はパートナーシップの促進に貢献する」、これらはすなわち、中間支援組織の存在が持続可能な社会を実現するための条件であり方法であるということを示しているのではないでしょうか。

Feature 4

エリアマネジメントにおける中間支援組織の役割

パートナーシップの推進は、コミュニティの総合的な魅力向上、すなわち「エリアマネジメント」にも繋がります。国土交通省がこれを「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み」と定義しているように、産官学民さまざまな主体がパートナーシップを組んで社会課題の解決に取り組むことで、地域の魅力が向上します。すなわち、エリアマネジメントという側面から見ても、中間支援組織の存在は欠かせないのです。

Feature 5

NPO birthの戦略的エリアマネジメントとこれから

私たちNPO birthは、1997年の創立以来、「みどりの中間支援組織」として、身近なグリーンインフラの価値・機能を最大限に活かす取り組みを幅広く実施してきました。公園などみどりのオープンスペースを拠点として、保全活動やイベント、環境教育プログラムなどのような価値観が大きく変わり得る場や体験を提供することで、社会問題の解決、そして、コミュニティの総合的な魅力向上を目指す「みどりのエリアマネジメント」を行っています。
現在、私たちNPO birthは、「協働コーディネート部」「レンジャー・環境教育部」「自然環境マネジメント部」という3つの部署のスタッフが「パークコーディネーター(PC)」「パークレンジャー(PR)」「リソースマネージャー(RM)」というそれぞれの分野の専門スタッフとして戦略的にエリアマネジメントに取り組んでいます(図3)。これら3つの部署は、SDGsウェディングケーキの3層(分野)とも合致しており、SDGs達成の方法を社会実装していると言えます(図4)※。

●パークコーディネーター:産官学民の地域連携事業や協議会運営、公園での活動の立ち上げや支援など、地域をつなぐ存在
●パークレンジャー:環境教育を通して地域の自然や歴史を学ぶ機会を提供したり、安全管理や利用指導によって自然との適切な関係性の築き方について普及啓発を行う存在
●リソースマネージャー:環境調査を行うことで適切に地域のリソースを把握したり、地域のステークホルダーと協力して保全計画の策定・実施をする存在


図3:左から協働担当のパークコーディネーター(PC)、環境教育担当のパークレンジャー(PR)、自然環境保全担当のリソースマネージャー(RM)
※NPO birthでは、2002年に「環境入会(いりあい)論」を発表(自然環境復元研究 第1巻 第1号)。持続可能な社会づくりの概念としてSDGsウェディングケーキと同様の社会構造を図示し、保全活用論を展開した。NPO birthの組織文化は本論に基づいて育まれている。


図4:持続可能な社会づくりに貢献するみどりのエリアマネジメント

私たちNPO birthは、このような「みどりを基盤にしたエリアマネジメント」を通して、人と自然、人と人との関係性を育み、持続可能な社会づくりに貢献しています(図5)。これからも、地域のステークホルダーとともに、公園や林、農地など、さまざまなみどりの力=グリーンインフラの機能を引き出し、すべての人も生きものも健康で豊かな暮らし(ウェルビーイング)が実現できるまちづくりに取り組んでいきます。
(参考文献:サンフランシスコの環境保全と中間支援NPOの取組み NPO birth発行)


図5:人と自然のつながりを取り戻す

 

 

中間支援組織

サンフランシスコ市の環境保全と中間支援NPOの取組み

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