掲載:2026.5.19
【論文掲載】
環境入会(いりあい)に関する一考察
2025年 発刊にあたって
「環境入会」という考え方は、2人の恩師との対話から生まれました。ある日、品田穣先生から「里山を守っていくには、どうしたらいいと思う?」と問われ、咄嗟に私の口から出たのが「入会(いりあい)」という言葉でした。
なぜその言葉が出てきたのか。それは、かつて犬井正先生から伺った、東京都檜原村の入会林に関する話が心の奥深くに残っていたからです。
人と自然が互いに影響を与え合いながら、長い年月をかけて育まれてきた里山。そこには、地域の人々が自然を「共有財(コモンズ)」として受け入れ、守り、持続させてきた知恵と文化がありました。

それは制度でも技術でもなく、暮らしの中に根づいた「関係性の文化」だったのだと思います。人と自然の関係性を現代社会の中でどのように再構築できるのか。「環境入会論」は、その問いに対する1つの応答として生まれました。
本書では、自然・社会・経済という3つの層を重ねながら、人と自然のつながりをどのように再構築できるかを探ります。
環境を「共有財(コモンズ)」ととらえ、持続可能な未来に向けて、私たちはどんなルールをつくり、どんな役割を担い、どんな価値を大切にしていくべきなのか―。それは決して難しい理論ではありません。かつて当たり前にあった、自然との関わりのかたちを、いま一度見つめ直すことにほかなりません。
※本論文は、2002年に『自然環境復元研究』第1巻第1号に掲載された論考です。
2025年の冊子発刊を機に、Webサイトでも公開しました。
概要・目次
■概要
「環境入会論」 は、地域の自然・文化などの環境資源を、地域に関わる人々が協働で持続的に保全管理するためのコンセプトである。
環境全体の構造を自然環境、社会環境、経済環境の3つの要素から構成されると捉え、これらの各環境の持続性と調和を実現する条件を「規則」「役割」「価値観」とする。地域計画の設計・実行・評価の各段階において、「環境入会」のコンセプトを適用することによって、地域社会の持続性が保障されることとなり、「環境入会」を実現する「環境共同体」として、インターミディアリー(中間的)なNPO法人が期待されている。

■目次
1.はじめに
2.里山をモデルとした人と自然の共存できる持続型社会―里山化社会―
(1)環境入会の基本的な考え方
(2)環境入会地をつくるための条件
(3)環境入会の意義と機能
3.環境入会の具体的事例
(1)新治市民の森(神奈川県横浜市)
(2)大泉風のがっこう(東京都練馬区)
(3)あとり農園(長野県飯田市)
4.環境入会の課題と解決策
(1)保全制度論
(2)保全主体論
(3)保全文化論
5.環境共同体 ―NPO法人
おわりに ― 未来への提言 ―
