
「ICU三鷹キャンパスの森」で育む、未来の雑木林 ― 大学と地域がともに実践する、武蔵野の自然再生 ―
○ 日時:2023年~
○ 場所:国際基督教大学「ICU三鷹キャンパスの森」

森を再生するということ
「ICU三鷹キャンパスの森」は、クヌギやコナラを中心とした武蔵野の自然の名残をとどめる貴重な環境です。しかし近年、老齢化した樹木の枯死やナラ枯れの蔓延により、森の生態系バランスが大きく崩れつつありました。
そこでNPO birthは、大学と連携して「更新伐採」に着手。樹木の若返りを促し、林床に光を取り戻すことで、希少種を含む多様な植物や動物の再生を目指しました。
「更新伐採」直後の調査では、フデリンドウやキツネノカミソリなど武蔵野台地にかつて広がっていた植物種の群生が復活するなど、地域の他の緑地ではほとんど見られなくなった生きものが多数確認され、再生のポテンシャルの高さが明らかになりました。

つながる、育つ、担う
2024年度は「森づくりの担い手」=「サポーター」を育てるため、年5回の養成講座を開催。講座に参加した学生、教職員、卒業生、地域住民など学内外さまざまな関係者が、講義、観察、ワークショップ、保全作業などを通じて、雑木林再生の知識と技術を学ぶ場となりました。また、プロジェクト対象地で集めた落ち葉で焼き芋をしたり、伐採した木を活用してシイタケのほだ木づくりをしたりなど、五感を使って雑木林を楽しむ体験も実施しました。
養成講座の他にも、外来種の引き抜きなどの保全作業を「ちょこっとボランティア体験」として実施しました。
年間を通して、サポーターからは「森がぐっと身近になった」「継続して関わっていきたい」といった声が多く寄せられ、今後の継続的な森づくりへの関与につながる結果が得られました。






森の魅力を、もっと伝える
「ICU三鷹キャンパスの森」が持つ魅力や、再生の取り組みを広く知ってもらうため、普及啓発活動にも力を入れています。
- レンジャーガイドツアー:オープンキャンパスや学園祭に合わせて、専門のパークレンジャーによる自然案内を実施。受験希望者や保護者、地域住民も含め、のべ100人以上が参加しました。
- 現地展示:「更新伐採」の意義や方法をわかりやすく解説したパネルを現地に掲出。視覚的に訴える工夫も施しました。



「教育の森」として、10年後へ
「ICU三鷹キャンパスの森」は、2023年度、全国で大学として初めて「自然共生サイト」の認定を受けています。保全と活用の両立を図りながら、教育・研究・地域の実践が融合する場として、これから約10年かけて雑木林の再生を進めていきます。NPO birthは、その企画運営のパートナーとして、以下の取組を続けていきます。
- 動植物調査の継続
- サポーター活動会の実施
- ガイド等を通したプロジェクトの普及啓発
- 保全活用ガイドラインの策定
「ICU三鷹キャンパスの森」での取り組みは、単なる自然の再生活動にとどまらず、学びの場、地域の交流の場としての可能性を大きく広げています。雑木林を通じて、自然と人、人と人がつながる未来へ。私たちNPO birthは、この小さな森から、大きなつながりを育んでいきたいと考えています。
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