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取り返しのつかない一言!

2010年1月11日 /事務局だより

今から20年前の夏の日。

 

わたしは、取り返しのつかない一言を、発してしまいました。

 

あの一言がなければ・・・。

 

 

100110_ph.jpg

暑い夏の日の午後のことでした。

エアコンを効かせた居間で寝転んでいると、家の外で子供の歓声が聞こえてきました。

 

「なんだろう?」

 

外に出てみると、小さな男の子が2

おそろいの捕虫網と虫かご持ち、何かを捕まえたと大はしゃぎです。

 

「何捕まえたの?」

 

わたしの問いに、待ってました、と言わんばかりに、2人は、虫かごをわたしの顔の前に突き出しました。

 

「えっ!何がいるの?」

 

虫かごには虫らしきものは入っていません。

 

子供たちはわたしの態度にいらだったように、「これだよ、これ」と虫かごを揺すりました。

すると、虫かごの底を小さな黒い玉がコロコロと転がるのが見えました。

 

「な~んだ、ダンゴ虫か。こんなのしか捕れなかったの~。」

「僕が小さい頃はね。この虫かご一杯になるほど、セミを捕ったよ」

 

子供たちはわたしの顔を上目づかいで見ると、そのまま何処かへ走り去ってしまいました。

「ひとり、道路上に取り残されてしまったわたし...。」

 

「なに!?。なんて無愛想なガキだ。」

 

釈然としない気持ちのままで、部屋に戻り、いろいろと考えを巡らしました。

「あれ!そうか、もうこの辺りには、セミがいないんだ。」

「あんなにたくさんいたセミは何処へ行ってしまったんだろう...。」

「そうか!家の前にあった森がなくなったからセミは消えてしまったんだ。」

 

「そうだよな。大人が全部、木を切っちゃったからな。まったく、大人たちはロクな事をしないなぁ~」

 

と、そこまで思った瞬間、ハッとしました。

 

「俺も大人じゃねえか!!」・・・。

 

「という事は、セミがいなくなったのは、自分の責任でもあるわけで・・・。あの子たちから見れば、セミをいなくしてしまった犯人でもあるわけで...。で、あの一言を言っちゃったわけで...。」

 

とっても痛い出来事でした。

「身近な自然をとり戻そう」、固く心に誓った出来事でした。

 

あれから20年。

あの子たちは、二十代半ばの青年になっているはずです。

彼らは、あの夏の日の、あの心ない一言を覚えているだろうか。

 

まだ、道半ば、「まちに地みどり」もっともっと頑張らないと!

 

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