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乾いたイナゴを噛みしめながら

2010年8月 7日 /里山民家だより

大発生してしまった田んぼのイナゴ。
稲の葉がどんどん喰われていく。
イナゴにも好みがあるようで、古代米の葉には目もくれず、うるち米の葉ばかり食べています。
去年もイナゴはたくさんいましたが、それでも米は豊作でした。今年も大丈夫だと思いますが、これだけ多いとちょっと不安。
無駄だとは思いながらも駆除を試みました。

 

その量たるや半端じゃない。捕虫網を5分ほど振っただけで、網の柄がたわむほどのイナゴが網に入ってしまいました。

 

さて、どうしよう?
①土に埋める。
②田んぼに戻す
③佃煮にする

 

①は、手っとり早いが、無益な殺生のような気がする。
②は、一番簡単なのだが、稲が心配。
③は、資源を無駄にしない伝統的な文化だが、虫を料理しなくてはならない。

一日悩んだ挙句、結局③にチャレンジすることになりました。

 

100807-1.jpg

 

ネットでイナゴの佃煮の作り方を調べてみると、方法は意外と簡単。
だが、精神的にはかなり重そう。
まず、自分の手でイナゴを〆なくてはならない。
さらに、下ごしらえが大変そう。

 

重い気持ちを「エイ!」と振り払い、まずは、イナゴさんを〆る作業。
「ごめんね、謝ってもダメだよね」
などと言いながら、熱湯をサッとかけると一瞬のうちにイナゴさんは絶命。


次は下ごしらえ。イナゴさんを洗い、足の固い部分と羽根を取り除く。
一匹いっぴきに「ごめんね」と謝りながら、下ごしらえは続く。
単純な繰り返し作業をしているといろいろと考えてしまう。


「これだけ殺してしまったのだから、善行寺詣りに行ってお血脈をもらわないと、間違いなく地獄行きだろうなぁ。」


とか、
「直接手を下してはいないけど、毎日、沢山の生き物の命を奪って暮らしているのだろうなぁ」


とか、
普段は、まったく使っていない脳の一部が動きだしてしなったような感覚で、いろいろと思いを巡らせました。

 

1時間ほどで約250匹のイナゴさんは、やっと料理の素材になりました。
と言っても、その御姿は、やっぱりイナゴ。
心の抵抗感はいまだ拭えず。

 

さて、ここからが料理です。
フライパンで軽く炒り、あとはひたすら天日干し。
夏の暑い日差しにさらされて、イナゴさんの体色は、みどり色から茶褐色に変色していく。同時に、芳醇な香りが漂ってくる。その香りはエビと藁を混ぜたようなとても良い香り。


程良く乾いた所で、試食してみる。

覚悟をし、目をつぶって口の中に放り込む。

これがとても美味しい。
香りと同様に、乾燥エビのようなテイストに稲の香りがほのかに残る感じ。


「なるほど」
はじめてイナゴの美味しさを知りました。
実をいうと前にも食べた事があるのですが、バッタの姿をしているので、とても味わう気持ちになれませんでした。しかし、今回は、自分の手で〆てしまったので、ある意味、覚悟が出来ており、真っすぐにイナゴの味に向かい合う事ができました。

 

命の大切さは分かっているつもりです。
でも、本当に分かっていたのか、今は疑問です。
もしかすると全然、分かっていないかも知れません。

 

乾いていくイナゴを噛みしめながら、命の深さを再び考え直しています。


 

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