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小雨がネムを濡らしている

2010年6月28日 /里山民家だより

時は紀元前5世紀、春秋時代の中国。

 
越の国王は、呉国を滅ぼすための計略として、美女「西施」を呉国王のもとに送り込む。呉国王は、西施の色香に迷い、やがて呉国は滅んでしまう。

呉国の人民は、国を乱した妖怪として「西施」を殺してしまう。

 

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元禄2年(1689年)6月18日、本庄藩-象潟。


雨の象潟(キサカタ)に到着した歌人松尾芭蕉は、「象潟や雨に西施がねぶの花」という句を詠む。

「きさがた」という場所で雨に濡れて咲いているネムの花は、美女の誉れ高い「西施」(中国4大美女の1人)が、瞼を閉じて眠っているかのような趣である。

 

昭和61年(1986年)梅雨時、秋田県象潟。


この地を訪問した司馬遼太郎は、芭蕉の俳句についてこう書き残す。

「芭蕉は、この象潟にきて、合歓(ねむ)の花を見たらしい。合歓の木は、日当たりのいい湿地を好んで自生するから、象潟にふさわしい。夕方になると葉と葉をあわせて閉じ、睡眠運動をする。このため日本語では眠(ねむ)または眠(ねぶ)の木と言い、漢語ではその連想がもっと色っぽい。合歓という。合歓とは、男女が共寝をすることである。
しかし芭蕉のこの季節は、ねむ(ねぶ)の木が花をつけるころで、花は羽毛に似、白に淡く紅をふくんで、薄命の美女をおもわせる。
つかのまの合歓がかえって薄命を予感させるために、花はおぼろなほどにうつくしいのである。芭蕉は、象潟というどこか悲しみを感じさせる水景に、西施が凄絶なうつくしさを憂いを思い、それをねぶの色に託しつつ、合歓という漢語をつかい、歴史をうごかしたエロテイシズムを表現した。

(街道をゆく 秋田散歩より引用)

 


平成22年6月28日、東京都武蔵村山市岸、野山北・六道山公園


小雨が降る田んぼの下の広場。薄暮の中で一本のネムノキに薄紅の花が咲いている。

その姿をじっと見つめる私。

2500年の時を超えて、西施の容姿に心奪われ、その壮絶な運命に胸を痛めている。

 

小雨がネムの花を濡らしている。

 


 

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