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NYからはじめまして!

2012年3月 5日 /ニューヨーク便り

NPObirthブログ読者のみなさん、はじめまして。2011年の秋から短期間birthでインターンをさせていただいた村山雄一と申します。

アメリカのニューヨーク植物園の園芸学校に入学が決まり、それが始まる前の期間に東京都のいくつかの公園で作業させていただきました。私が勉強しているのは観賞園芸ですが、それに限定せずに、birthの活動に関係するような、ニューヨークでのNPO活動や、公園、コミュニティーガーデンなどについて見聞きしたことをお伝えしたいと思います。

 

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拙い英語で苦労しつつ授業を受けているので、どれくらいの頻度で更新できるかわかりませんが、国が違うだけあって、話題にしたいようなことがいっぱいあります。東京とニューヨークは同じく大都市ですが似ているところ、似ていないところ、東京もこうなってほしいなと思うようなところがあって、日々いろいろと考えながら過ごしています。

 

さて、今回は初めての投稿になりますので、私が通う学校のあるニューヨーク植物園についてご紹介したいと思います。

 

日本にいる間、ニューヨーク植物園(以下NYBG)で勉強することになりました!と知り合いに報告したら、「そこは公立なの?私立なの?」とよく聞かれました。NYBGの公式ウェブサイトを見てもどういう所属の団体なのかがはっきり書いていませんでした。実際、私もよくわからないまま、NYBGで学生生活をスタートさせました。

 

学校に通い始めて、スタッフさん達と話すようになってわかったのですが、NYBGは規模の大きなNPOだということです。すごいです。NPOでこれだけ大きな業務をこなしているところは少ないのではないでしょうか?全職員は450人ほどだそうです。年間の予算はまったくわかりませんが、かなりな額であることは確かです。西半球最大の園芸、植物学図書館があり、世界でも有数の植物標本数を保管する標本館があり、ファイザー製薬から出資を受けた研究所もあり、園芸学校もあるという、すごく大きな組織です。

 

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NYBGは公立ですか?私立ですか?とスタッフさん達に質問して、受けた説明は次のようなものでした。「その中間的な組織だと言えます。土地、建物はニューヨーク市の所有物ですが、それを無料で市がNYBGというNPO団体に貸していて、光熱費も家賃も税金で賄われています。その代わり、職員の賃金、学校、標本館、温室、庭園などの維持管理費はすべてNYBGが入園料、授業料、寄付等の形で得た収入で賄われています。」というものでした。世界有数の植物園がNPOだったなんて!驚きです。

Birthも東京都からの委託を受けて公園を管理していますが、ゆくゆくはNYBGみたいな研究も、園芸教育も担える活動ができるかもしれない!と思いました。いいロールモデルかもしれません。

 

NYBGの主なゴールは4つあるそうです。

1つ目:植物学研究の拠点となること。
2つ目:市民に美しい憩いの場を提供すること。
3つ目:園芸・植物学教育を市民に提供すること。
4つ目:ニューヨーク原生林や温室、庭園で生きた植物のコレクションを管理すること。

 

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1つ目の研究を担うのは植物学者さん達です。標本やDNA解析を使って植物の類縁関係を理解する分類学を担当する分野と、植物の利用法を研究する民俗植物学の分野の二つが大きな研究テーマだそうです。

 

2つ目の憩いの場は、広大な敷地の中に開拓時代から残る森があったり、ブロンクス川が流れていたり(ビーバーのつがいがいるそうです!)、美しいガラス温室や、のびのびと育った草木が美しく育つ各種庭園が配置されています。ゆっくり見て歩くには丸一日はゆうに掛る広さです。

 

3つ目はとても重要視されていますが、学校に通う子供達から定年後の成人まで老若男女に植物の魅力、科学的な理解、園芸の技術を教える教育部門です。小学生が植物に親しむために整備された庭や顕微鏡で植物を観察できるビジターセンター、子供達を教える先生達のためのクラスや、専門的に植物学を勉強したい成人のための授業、園芸の幅広い実践的な知識、実習ができるクラスなど大変充実しています。講師はPh.Dを持った先生だったり、博士課程に通っている若い研究者さんだったり、僕の通う学校を卒業した大先輩や、植物園で働くスタッフさん、外部から講師に招かれた専門家の方など、充実の顔ぶれです。日本の植物園ではこの"大衆教育"の部分がとても小規模に思えます。それについてもいつかまとめてご説明できたらいいなと思っています。

 

4つ目の生きた植物はとても美しいです。日本や中国、ヒマラヤから輸入されて、すでに何十年も育っている美しい大木や、開拓時代から手つかずに残されているオークの森、温室のランのコレクション、春の球根植物花壇、バラ園、コニファー(針葉樹)園、マグノリア園、ライラック園、サクラ園、カエデ園、生産温室など、多種多様な植物を生きた状態で観察することができます。さらにうらやましいのがその多くの植物たちに学名のラベルが付けられていることです。やる気さえあれば、このラベルを見ながら観察をして植物の名前を主婦の方や、小学生だって覚えることが可能です。日本の植物園でもラベルがありますが、全部の植物にラベルが付いているか?と思うと、まだ改善の余地があると思います。

 

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植物だけでなく、動物も豊かです。リス達がぴょんぴょんと芝生を跳び跳ねていたり、カナダグースが草をついばんでいたり、鷲が飛んでいたり、野兎がガサガサっと茂みから出てきたり、(目撃した人は少ないですが)ビーバーがダムを作っていたり、小鳥たちはどれだけいるのかわからないくらい種類が豊富です。ブルーバードと呼ばれるオナガドリを青くしたような鳥や、真っ赤な鳥、ツグミなのですがカモの雄のように緑に輝く羽を持った種類など、日本では見られない鳥がたくさんいます。植物園に限らず、町でもカモメが飛んでいたり、雀が何種類かいたり、動物達が人間生活のすごく身近に生活しています。ニューヨークなのにです。カラスが逆に少なくて、街中では一度も見かけず、自然の残った地域に観察に行ったときに初めて1羽だけ見ました。東京にいる間はカラスばかりが目に着きましたがニューヨークでは逆に貴重な野生動物です。この違いも面白いです。ワイルドライフについてもご紹介できたらいいなと思います。郊外の公園には野生のコヨーテまでいるっていうのですから驚きです。

 

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ブログとしては随分長くなりましたので、第1回の投稿はこれでおしまいとさせていただきます。1ヵ月に最低でも1回は情報紹介させていただきます。乞うご期待!

 

2012年3月5日

報告:村山雄一


 

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